食料不足どころか、世界の小麦在庫、積み上がり中。史上最高の約3憶トンへ(米農務省の6月予測)。原因は、外食・観光の激減と在宅人口の増加だ。これだけ動かず消費カロリーが減れば、摂取量も減少する。
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 9, 2020
一方、小麦生産量予測は昨年と同水準。穀物3大情報機関(USDA/IGC/AMIS)ともに同見解である
在庫はあるのに、なぜスーパーに小麦粉がないの?
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
答えは簡単。
実際、小麦原料はあるし、小麦粉もいくらでも作れますが、最大の問題は家庭用サイズに小分け包装する工場能力が、突如、急増した自宅でのパン・お菓子作り需要に追付いてないだけ(続)
コロナ前は、小麦粉マーケット(500万トン)に占める家庭用需要は、たった3%の15万トン。一世帯で月平均250gぐらいの量。それが突然、3kgとか5kgとか10倍以上買いだしたらどうなる?家庭用の小麦粉工場ラインなんて元々、業務用の30分の一キャパしかないから、需要の急増分を製造できないわけ(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
一方、激減した外食向けの業務用在庫は余っているけど、これを小分けして、リパックするのは滅茶苦茶たいへん。言うのは簡単だけど、家庭用の包装資材を買い、再包装ラインを作り、食品表示もより厳しい小売用に変更して、法律に則った商品パッケージにしないといけない等、色々対応する必要が…(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
もちろん、既存の業務向け小麦粉袋(例:25㎏)の製造ラインを家庭用へ変更するのに、製粉メーカーと機械、資材メーカー等が協力して、頑張っている最中(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
しかし、需要に合った家庭用小麦粉パックの製造能力まで向上させるだけでは、欠品は解決しない。同時に、スーパー・卸からの注文に対して、日々応えられるまで工場の在庫水準を上げないといけない。そこまでいかないと、注文から納品までのリードタイムが長くなり、頻繁or時々欠品という状態が続く(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
といっても、自宅でのパン作り・お菓子作りブーム/特需がいつまで続くか、製粉工場サイドは見極めなければならない。家庭用製造ラインに投資しても、自粛解除でニーズが激減すれば、投資倒れになる可能性も。その意味で、欠品が解消される水準まで増産しない選択肢も工場サイドにあるといえる(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
今回の自粛で、自宅でのパン・お菓子作りが根付いた家庭なら、ネット通販やスーパーの特売で売っている業務用25㎏袋を買うのがいちばんシンプルな解決法。自宅で小分けしたり、知人・友人と分け合ったりすればいい。プロ向けの方が小売用より種類も豊富だから、いろいろ用途別に変えたり楽しめる(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
欠品の理由に話に戻せば、例年なら、1年の中でも家庭用小麦粉の在庫が減る時期と今回、急増した時期が重なった点も大きい。もともと家庭需要のピークはケーキやクッキー作りが増える冬場なわけで、例年で言えば春先から最も需要が減る夏場に向け、在庫減の最中に消費急増という相反する状況に直面(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
まとめれば①小麦粉がスーパーの棚から消えたのは、皆さん一人一人の消費行動の変化の結果で、在庫不足が原因ではない②小麦も小麦粉の在庫も小麦粉の製造能力もあるが、激減した業務用から家庭用へ製粉業界が商品シフトする調整段階にあり③その間は日頃買わない業務用を使って楽しみましょうという話
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
家庭用の小麦粉欠品は世界共通の現象だが、いい意味での副産物として、「地元産小麦」の見直しと復興が各地で起こっている。久しぶりにパン作り・お菓子づくりをしてみて、小麦の種類や産地によってこれだけ香りや出来上がりが違うのかと気付く機会に。小麦からこだわる消費者が増えているのだ(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
例えば北海道産パン用小麦粉といえば、パイオニアは「江別製粉」だ。いい小麦粉は、生産者がいい小麦を作ったからできるといった単純な世界ではない。製粉会社がプロデューサーとなり、育種家の品種改良、農学者の栽培体系作り、パン製造のプロからのフィードバック等、総合的開発力が試さる世界(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
…このような総力を結集し、できたのが江別製粉の北海道産小麦粉ブランド。強力粉の「はるゆたかブレンド」「香麦」「フランスパン用」、薄力粉の「ドルチェ」用の他、おやつ用ミックス粉、パスタ用では「スパゲティ」と「マカロニ」向けなど多様なラインナップを揃える(続)https://t.co/MpxG4MgDbH
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
北海道産の小麦ブランド品種が「はるゆたか」なら、九州産の代表品種は「ミナミノカオリ」。国産小麦マニアの間で評価をへてブランド化しつつある。製粉会社経由の通販もあるが、生産者直売でも買える。はるゆたかorミナミノカオリの品種名で検索を。転売ヤーが気になる方にもおススメの購入方法(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
あまり全国的には知られてないけど、私の出身地山口県産なら「せときらら」というパン用小麦品種が県民だれでも知るぐらいブランドになっている。学校給食用に100%使用されている他、地元のパン屋の多くで「山口県産せときらら使用」という表示をみるほど、普及している。ネット通販でも買える(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
他にも、各地域でパン用等の新たな小麦品種が次々と登場している。主な品種名を記していく。品種名「銀河のちから」「ゆめちから」「ニシノカオリ」「ユメシホウ」「ダブル8号」「ゆめかおり」「ハナマンテン」。産地名や品種別の適した用途は各自チェックください。国産小麦ファンが増えるか?(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
他の方法として、地元の学校給食に卸しているパン屋さんに問い合わせみる手も。もし小麦粉の在庫が余り、困っているなら、仲間を募り、大袋で買い取る等だ。ただ、助成金が入っていて、給食外使用は不可など縛りがあるかもしれない。こういう事態なので行政と協議し、前向きな解決ができればベスト(続)
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) May 10, 2020
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コメント
コメント一覧 (8)
denshoubai
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denshoubai
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パン屋さんはパンの替わりに25KGの業務用小麦粉をそのまま売ったら?
感染リスクも少なそうだし
denshoubai
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25kg袋なんて一般家庭に置いたらダニの温床よ?
denshoubai
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denshoubai
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で、乾麺パスタがスーパーにここ2か月全くないのはどういうこと?
denshoubai
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